はじめに
毎日の食卓が子供の成長と家族の団らんにつながるように、学校でも日々の給食は、友達とのコミュニケーションはもちろん、バランスの良い食生活や食べ物の大切さを学ぶ、重要な〝食育の場〟となっています。中には近年家庭で食べる機会が少なくなった郷土料理が給食で提供されることもあり、子供たちに地元の味を引き継ぐ役割も担っているのです。
給食は学校がある平日は毎日ありますが、給食の実施や献立、費用は各地域や学校ごとに違いますし、近年急増している食物アレルギーの対応も急がれています。今回は最近の給食事情についてお話ししていきたいと思います。
小学校や中学校は給食?お弁当?
給食は全国ほとんどの小中学校で提供されています。文部科学省の調査によると、2014年度の給食実施率は小学校99.2%、中学校87.9%でした。
給食には、
①主食におかずや牛乳がつく「完全給食」
②ミルクやおかずが出る「補食給食」
③牛乳のみの「ミルク給食」
の3区分がありますが、給食を実施している学校のほとんどが完全給食で、補食給食やミルク給食は全体の1%未満です。給食の提供は施設整備や食材費、人件費など多額の費用がかかります。
そのため少子化が進む地域ではお弁当か自宅に帰って昼食を済ませるというところもありますし、お弁当を持参するのが長年の風習になっているため給食を提供していない学校もあります。
ガッコム【自治体別教育統計ランキング】
小学校給食実施率ランキング
https://www.gaccom.jp/region_ranking/meals_all_es
小学校完全給食実施率ランキング
https://www.gaccom.jp/region_ranking/meals_perfect_es
小学校補食給食実施率ランキング
https://www.gaccom.jp/region_ranking/meals_supplement_es
小学校ミルク給食実施率ランキング
https://www.gaccom.jp/region_ranking/meals_milk_es
給食費はいくら?
2014年度給食費の平均月額は小学校4266円、中学校4882円です。小学校は低学年が4251円、中学年4271円、高学年4277円と、学年が上がるごとに少しずつ金額が上がります。
また、数年前から問題となっている給食費の未納については、文科省が2012年度に実施した全国抽出調査によると、未納者の割合は児童生徒205802人のうち1910人、未納額の割合は給食費総額91.1億円のうち4500万円になるそうです。未納の理由としては経済状況が厳しいというケースもありますが、一番多いのが「義務教育だから払わない」などと身勝手な理由で、未納家庭の60%以上にものぼるそうです。給食は学校給食法で教育の一環として位置づけられ、食材費は親が負担するものと決められています。
未納額が増えると、購入できる食材が限られて栄養バランスが崩れてしまったり、給食の継続が難しくなったりする可能性もあります。支払いが困難な場合は、自治体の就学援助制度が利用できる場合があるため、相談することをおすすめします。
献立はどうやって決まるの?
文部科学省は、給食の必要エネルギー(カロリー)やたんぱく質、脂質といった各栄養素の割合を「学校給食実施基準」で示しています。各学校や地域によって違いますが、一般的にはこの学校給食実施基準をもとに、各市町村でも「日本型食生活を推進する」「季節感が感じられるようにする」「地産地消を心がける」などといった基準を設けています。
このような基準をもとに、まずは栄養士が児童生徒の栄養バランスに注意しながら献立を立て、その後、学校栄養士や教諭、校長、教育委員会などで構成される委員会を毎月開いて決めているのです。また子供たちが給食を楽しめるよう、バイキング方式を取り入れたり、リクエストを受け付けたりと工夫を凝らす学校もあります。
アレルギー対策
2013年度時点では、何らかの食物アレルギーを持つ児童生徒は全国に約45万人(全体の4.5%)いて、前回の2004年調査より約12万人、割合にして1.9ポイント増加しています。2012年12月には、食物アレルギーのある児童が給食を食べた後にアナフィラキシーショックで死亡する事故が起きています。学校では、アレルギーのある子供の給食にアレルギ―物質が混入しないよう専用調理スペースを設けるところや、事前に献立を伝え、食べられない食材がある日は家庭からお弁当を持ってきてもらうといった対策をとっています。
子供の命を守るためにも、学校の対策はもちろん、家庭との連携も欠かせませんね。
おわりに
給食は一食当たり250円前後と安く作られていますが、その費用の中で栄養士をはじめ多くの関係者が、お母さんと同じように頭を悩ませて献立を考え、安全な食材を選んで毎日作っています。それは成長過程にある小中学生にとって、バランスの良い給食を楽しんでしっかり食べることがとても大事だからです。
しかしその一方で、給食費の未納だけではなく、児童生徒1人あたりの給食食べ残し量が年間約17kgにも上るというデータもあります。1日3食しっかり食べることは、余分な間食を防ぐため、子供の肥満防止にもつながります。
義務教育だから毎日給食が出て当たり前と思わず、こうした給食ついて子供と話をしてみるのも、子供が食事に対する意識を変えること、そして健やかな成長につながるのではないでしょうか。
ガッコム【自治体別教育統計ランキング】
小学校低学年月額給食費ランキング
https://www.gaccom.jp/region_ranking/meals_cost_es_l
小学校中学年月額給食費ランキング
https://www.gaccom.jp/region_ranking/meals_cost_es_m
小学校高学年月額給食費ランキング
https://www.gaccom.jp/region_ranking/meals_cost_es_h
中学校月額給食費ランキング
https://www.gaccom.jp/region_ranking/meals_cost_js