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きっと役立つ‼若い夫婦のための教育書⑥

あまり知られていない「教育経済学」

最終回の今回は、必読すべき最新の教育書を紹介します。その本は『「学力」の経済学』(中室牧子著 ディスカヴァー・トゥエンティワン/刊 2015@1600円+税)。著者は、慶應義塾大学総合政策学部の中室牧子准教授で新進気鋭の教育経済学者です。

 

先日、ある新聞社で支局長さんと仕事の打ち合わせをしていた際、たまたま話題が小中学生の学力に及びました。そのとき私は、上記の本を思い出し、「『教育経済学』という学問分野から『学力』を捉えた本があります」と話し始めると、相手の方は(何それ?)といった怪訝な表情をされたのでした。

 

確かに「教育経済学」は日頃私たちには耳慣れない学問です。これまでわが国では教育を経済学的アプローチから扱うことはあまりありませんでした。それが近年、状況が変わってきています。政策評価にエビデンス(科学的根拠)を取り入れることが強く求められるようになったからです。

また、コンピュータを使い高度な統計学的処理が高速でできるようになったことや、「ランダム化比較試験」など経済学の調査手法を駆使する経済学者が教育を研究対象にするようになったことなどで、この学問は今、注目されています。

 

私たちは確たる証拠がなくても、つい自分の好みに合う教育論に首肯しがちです。けれど、いかに「もっともらしい教育論」であっても、それが実際わが子に合うかどうかは試してみなければわかりませんし、その執筆者の体験や経験則が、多くの子どもたちに共通するのか、あるいは適用できるのかどうかも簡単には判別できません。

 

今回紹介する本に書かれている内容は、上述した「もっともらしい教育論」とは一線を画する「事実」です。

 

教育にはいつ投資すべきか

本書によれば、家計が大学卒業までに負担する平均的な教育費は、幼稚園から大学まですべて国公立の場合は約1000万円、すべて私立の場合には約2300万円に上るそうです。(文部科学省の調査)また、子どもがいる家庭は、年収の約40%を教育費に使っているともいいます。(日本政策金融公庫の調査)

 

 

経済学では、「1年追加的に教育を受けたことによって子どもの将来の収入がどれくらい高くなるか」を「教育の収益率」として数字で表すそうです。

では、どの教育段階の収益率がいちばん高いのでしょうか。本書は、それは子どもが小学校に入学する前の幼児教育だと述べています。

 

人生の成功に重要な非認知能力

「非認知能力」とは、IQや学力テストなどで測定される認知能力とは違い、人間の性格や気質のようなものをいいます。中央教育審議会が唱えた「生きる力」の構成要素にも非認知能力の重要性が述べられています。

 

非認知能力への投資は、子どもの将来の成功に非常に重要であることを、本書は多くのエビデンス(科学的根拠)で示しています。

 

これが、私が本書を紹介するひとつの大きな理由です。一読をお薦めします。

(浩)

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