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きっと役立つ‼若い夫婦のための教育書②

前回は、子どもの成長には「早起き早寝」の生活習慣こそが大事なのだということを紹介しました。

今回は、その生活習慣と同じくらい重要だと考えられる「朝ごはん」の驚くべき効果について、科学的知見に基づいて脳科学者の川島隆太教授が子ども向けに書いた「教育書」を紹介します。

 

 

その本のタイトルは、『元気な脳が君たちの未来をひらく』(川島隆太著 発行/くもん出版 2012@1400円+税)です。

著者は、東北大学教授で医学博士。「ブレインイメージング研究」(脳のどの部分にどのような機能があるのかを調べる研究分野)の日本における第1人者です。

川島教授は現在では、「脳トレ」ゲームの監修者としても有名です。それでパソコンゲームを推奨している研究者のように勘違いをしている人もいるようですが、そうではありません。

元気な脳が君たちの未来をひらく―脳科学が明かす「早寝早起き朝ごはん」と「学習」の大切さ (くもんジュニアサイエンス)

川島教授がこの研究を始めたきっかけは、当時子どもがテレビゲームに夢中になっているのを見て、テレビゲームが子どもの脳に大きな影響を与えているのではないかと考えたことだったそうです。そこで、テレビゲームをしているときの脳の働きが大きいと仮説を立て、対照実験として「クレペリンテスト」(簡単な1桁のたし算計算を指定された時間繰り返し行う検査)を行うときの脳の働きを観察して、両者を比較したのです。

ところが予想に反して、その結果はまったく意外なものでした。

 

 

テレビゲームやクレペリンテストをしている時の脳の働きをfMRIや光トポグラフィという装置で調べてみると、テレビゲームで複雑なリモコン操作をしている時には脳のごく一部分が働いているだけなのに、クレペリンテストで単純なたし算計算を繰り返している時の脳は前頭前野を中心としてたくさんの脳の部位が働いていることがわかったのです。

川島教授はこの実験をきっかけにして、単純計算や音読のトレーニングで脳の機能や働きが活発化することを突き止めました。

現在では、認知症患者がこのような脳の活動トレーニングを続けることで、症状が改善している事例が発表されるようになっています。

 

 

さて、いよいよ本題の「朝ごはん」についてです。

本書の中に、1400人の小・中学生を対象にした「朝食習慣と脳の関係」を調べた調査結果が載っています。脳を、①脳全体②前頭前野③頭頂連合野④側頭連合野のそれぞれの部位で働きを測定するため、被験者に4つのテストを行いました。その結果が驚きです。

朝食で、「おかずを食べていない人」「パンを食べている人」「ジュースを飲んでいる人」はすべてのテストの成績が悪かったのです。また、朝食で、「味噌汁を飲んでいる人」「お茶や紅茶を飲んでいる人」「野菜を食べている人」はすべてのテストの成績がよかったこともわかりました。

 

 

川島教授は本書の「おわりに」で次のように書いています。

「わたしがこの本で話してきたように、まずは毎日の朝ごはんや睡眠の習慣を見なおしてみてください。生活のリズムが乱れていたことが、成績が上がらない原因かもしれません。おかずがたくさんある朝食を、しっかりと食べましょう。とくに、お米をたいたご飯を食べることが大切だということは、最近あらたにわかった研究の成果です」

 

 

このように最先端の脳科学研究や認知心理学研究の成果は、現在進められている「早寝、早起き、朝ごはん、運動」が、子どもたちの将来にとってたいへん重要な意味があることを示唆しています。

 

 

子どもだけでなく大人も、仕事や能力のパフォーマンスを上げるには、朝食習慣を変える必要があるのかもしれませんね。

 

(浩)

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