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明日へ届ける手紙④「アクティブ・ラーニング」(下)

■ 「主体的・対話的な深い学び」

 

 学校教育の具体的な教育内容は、文部科学大臣が諮問する「中央教育審議会」の提言や答申に基づいて文部科学省が作成する「学習指導要領」によって定められている。その中央教育審議会が2030年を生きる子供たちの教育に必要だと述べているのが、在るべき学習の姿としての「主体的・対話的な深い学び」の実現である。

 

 このコラムで前回述べたように、高等学校における教育は、小中学校に比べ知識伝達型の授業になりがちであるとの指摘がある。また進学時に大学等でどのような学習をしたいのか明確でないこと、就職時に高等学校での学習が社会生活で必要な力の育成につながっていないことなどが、大学での留年や退学、早期離職の原因になっているとも指摘されている。

 

 とくに高等学校の生徒にとって学習の動機付けが、「大学入学者選抜に向けた対策」になりがちであることが我が国の高等学校教育の大きな課題だといわれている。この課題を解決するには、現在進められている大学入学者選抜の改革が必須である。

 

■ 「アクティブ・ラーニング」

 

 「主体的・対話的な深い学び」の実現のために、中央教育審議会は「アクティブ・ラーニングの視点に立った学習」が重要であると述べている。「アクティブ・ラーニング」とは「課題の発見・解決に向けた主体的・協働的な学び」である。裏返して言うと、子供たちの現在の学校での学習にこのような視点が不足しているということである。

 

(1)「課題の発見と解決」という視点

 学習とは机上で与えられたペーパー問題を解くことではない。とくに高等学校での学習では、社会との関連で課題を発見してその解決に多様な方法で試行錯誤することが求められている。大学進学を目指す「普通科」ではこれまで、時間がかかることなどから生徒のフィールドワークを敬遠する傾向が強かったが、最近では「課題研究」として生徒が校外に出てさまざまな調査活動やインタビュー取材を行いその結果を分析する学習も増えている。

 

(2)「主体的・協働的な学び」という視点

 生徒が得意分野の能力を伸ばして、社会や職業で必要となる資質・能力を育むには、これからの人生や社会の在り方と自分が学ぶことの意味を結びつけたり、教職員や地域の社会人、他の生徒との対話を通じて考えを広げたりすることが大事である。生徒同士が協働して学ぶことは友達から、自分の知らない知識や知見、気づかなかった視点や観点、高い志や夢を実現しようとする意志などに直接触れることができる絶好の機会でもある。また、お互いのよさを生かして協働する経験からリーダーシップやチームワークなどを学ぶことができる。

 

 

■ 10年後への問い

 

 では、実際の授業の場面で「アクティブ・ラーニング」はどのように実現できるのか。それがこれからの学校現場の課題である。現在この「アクティブ・ラーニング」をとおして「主体的・対話的な深い学び」を実現すべく学校教育だけでなく社会教育などさまざまな分野で先進的な取り組みが実践されている。現在実践されている授業例をいくつか挙げれば、「ディベート」、「ビブリオバトル」や「まわしよみ新聞」などがある。その詳しい内容は機会があればこのコラムでも取り上げたい。

 

 先日NHKで、「プロフェッショナル 仕事の流儀」を観ていたら、スナック菓子の新商品開発に少年少女が挑戦する企画があった。2つのチームに分かれて新しい味の菓子を作り出そうと奮闘する姿はまさに「アクティブ・ラーニング」そのもので、そこには確かに「課題の発見・解決に向けた主体的・協働的な学び」があった。

 

 学校の授業で、このような学習をどう実現させるのか。私は10年後の高等学校教育に期待している。

(浩)

 

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