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明日へ届ける手紙⑫「新型コロナウイルス(COVID-19)」(上)

 

 

 ■ 2020年3月の記録

 

 「全国全ての小学校、中学校、高等学校、特別支援学校について、来週3月2日から春休みまで、臨時休業を行うよう要請します」

 2月27日、テレビニュースで映し出された政府の新型コロナウイルス感染症対策本部での安倍首相の発表は衝撃的だった。2020年3月という月は、後世の日本人から、「初めて全国の学校が臨時休校になった月」として長く語り継がれることになるだろう。

 

 新型コロナウイルスの感染拡大を抑制するために3月現在、国の専門家会議の見解を受けさまざまな感染抑止方策がとられ社会や市民は真摯に取り組みを続けている。今から10年も経てば、この新型コロナウイルス問題が現代社会に与えた影響は多角的に分析されているだろう。そのとき、後世の日本人はこの社会的混乱や経済的打撃からどのような教訓を学び、その後の法整備や医療体制の強化、公衆衛生習慣の向上に活かしているのだろうか。

 

 3月4日時点で、文部科学省によると全国で、小学校は1万8923校、中学校は9124校が休校または休校を予定していて、臨時休校する小中学校の割合は98%を超えている。休校期間は2週間未満から春休みまでと長短の違いはあるものの、これほどの長期間、全国の学校が臨時休校になるのは前例がない。

 

 3月2日から私は、NHKニュースサイトや全国の地方紙の新聞記事を掲載している「47NEWS(よんななニュース)」サイトなどを閲覧して、2つの観点から今回の「臨時休校」を観察してきた。ひとつは、「自治体は休校要請にどう対応し、一時預かりなど子どもの居場所をどう提供したか」であり、もうひとつは、「学校や社会は子どもの学習支援や学力保障にどう対応したか」である。本稿では、そのひとつめの観点について、報道された記事を基に経過報告をしたい。

 

 ■ 休校措置と子どもの一時預かり

 

 千葉市は臨時休校と同時に3月3日から、小学1、2年生の児童の預かりを始め、3月6日からはそれを小学3、4年生にも拡大すると発表した。長野県佐久市は3月4日から小学1、2年生や特別支援学級の児童に学校での居場所の提供を始めた。三重県四日市市は3月5日から24日まで小学1~3年生を学校で一時預かりすると発表した。

 

 休校が始まった最初の1週間つまり、3月2~6日までで社会的話題となった内容に、児童生徒が公園に集まって遊んでいるのを、好ましくない、いや認めるべきだと話題になったことがある。この問題が各地で議論となったことで文部科学省は9日、「児童生徒の健康維持のために屋外で適度な運動をしたり散歩をしたりすること等について妨げるものではない」などを追記し、通知を更新した。外遊びができなくなった子どもたちのストレスは相当高じていると思われる。

 

 東京都港区では3月9日から、全小学校で午前8時15分から午後5時まで児童を一時預かることにした。また、三鷹市では同日から小中学校の校庭を午前中開放することにした。北海道石狩市では3月9日から24日まで、全小学校で平日午前8時15分から午後2時まで児童を一時預かることにした。

 

 学校の休校措置と学童保育(放課後児童クラブ)の時間延長や学校での学童保育以外の児童の一時預かりは、各自治体はこれまでの地域での取組み状況を踏まえて独自の運営体制を模索していた。どの自治体も現状の受け入れ態勢を急拡大することは困難で、できる範囲で実施しているのが実態である。また、休校措置について3月第2週には、一部自治体の独自色の現れた施策が、新聞報道されるようになった。

 

 ■ 休校延長と学校再開

 

 まず、休校の延長措置である。

 兵庫県神戸市は3月11日、市立の幼、小、中、高校の休校期間を春休み開始まで延長すると発表した。小中学校は17~19日に分散登校日を設けて通知表を手渡す。学童保育はこれまで同様に1~3年は午前中から預かり、保護者が仕事を休めない家庭の4~6年は「特例登校」として学校で受け入れている。

 さいたま市は3月11日、小中学校の休校期間を26日まで延長すると発表した。

 千葉市は3月12日、小中高校の休校を24日まで延長することと、夏休みを7日間短縮することを発表した。

 兵庫県で唯一休校措置をとっていなかった小野市は3月11日、市内から感染者が出たことを受け小中、特別支援学校を休校することに決めた。保護者が仕事を休めない家庭は平日、子どもを学校に預けることができ給食も提供される。

 

 次に、学校再開に向けた措置がある。

 佐賀県は3月11日、休校していた県立の高校と特別支援学校を3月16日から再開すると発表した。理由として、県内に感染の報告がないこと、保護者や子どもの現在の状況を長期化させてはならないことを挙げた。県内の小中学校も同様に再開する予定だった。

ところが13日に事態は一転する、県内の大学生に陽性反応が出たと初めての感染報告があり、翌14日の対策本部会議で、学校再開を取りやめ臨時休校期間を延長することが決定された。

 沖縄県では3月11日午前までに、宜野湾市、うるま市、北谷町、読谷村、北中城村で16日から公立小中学校を再開することを決めた。その後県内のほとんどの市町村で16日再開が決定された。

 3月16日時点で、NHK調べによると小中学校を再開した自治体は次のようになっている。千葉県成田市、山梨県富士吉田市、静岡県の4市2町、富山県の2市、兵庫県の3市2町、岡山県の1市1町、島根県の奥出雲町、鹿児島県の3町1村。

 

 一方、北海道更別村のように3月9日から、児童を学年別に分けて登校させる「分散登校」(同日は、1、3、5年生が登校)を始め、工夫を凝らして休校を回避した自治体もある。

 

 文部科学省は3月24日、学校再開に関する通知を発出し、学校再開の指針を発表した。(下記URL参照)

 また、東京都における感染者の急拡大を受けて、政府は3月26日、「改正新型インフルエンザ等対策特別措置法」(3月13日成立)に基づき、「政府対策本部」を設置した。(続く)

(浩)

 

※ 文部科学省通知「令和2年度における小学校、中学校、高等学校及び特別支援学校等における教育活動の再開等について」

https://www.mext.go.jp/a_menu/coronavirus/index_00007.html

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