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学校の四季⑨「プール開きと水泳」

 

◆プール開きの講話

 

 梅雨の晴れ間、学校のプールでは水面すれすれに燕が飛んでいる。

 もうすぐ子どもたちが楽しみにしている「プール水泳」が始まる。『学校だより』6月号に学校行事の日程が掲載されると子どもたちの話題はプール開きとプール水泳で持ち切りになる。

 

 

 プール開きの講話で私は、よく話していたことがある。それは「なぜ学校にプールがあるのか」という理由である。

 「日本は島国で周りを海に囲まれた海洋国家です。また山に囲まれた海から遠い地方には大きな河川や湖があり、昔から日本人は海や川そして湖で漁をし魚や貝を採って生きてきたのです。だから日本人にとって、子どものころから『海や川で泳げること』は生きていくために自分の命を守るためにたいへん重要な能力でした。

 子どもたち全員が泳げるように練習する場所として、大人たちは大きなお金がかかっても学校にプールを造ってきたのです」と話す。

 「だから皆さんは今年も、各学年の泳力目標を達成できるようプールでしっかり泳ぐ練習をしてほしい」と話を締めくくってきた。

 

◆学校にプールが設置された理由

 

 プールが全国の小中学校に設置されるようになったのは、昭和30(1955)年に起きた2つの大きな水難事故が直接的な契機だといわれている。

 

 昭和30(1955)年5月11日に起きた宇高連絡船と貨物船が衝突した「紫雲丸事故」(死者168名、うち児童生徒100名)と同年7月28日に起きた三重県津市中河原海岸水難事故(海岸で水泳訓練をしていた市立中学校女子生徒36名が溺死)である。

 ほぼ同じ時期に起き、多くの児童生徒が亡くなったこの2つの水難事故が、日本国内に与えた衝撃がいかに大きかったかは想像に難くない。

 この事故は国会でも取り上げられ論議され、その後の小中学校へのプールの設置と体育の授業での「水泳」の普及、そして教員養成大学で「水泳」が必修科目となるなどの改革へとつながっていくのである。

 

◆プールでの怪我や事故を防止する

 

 水泳はバランスのよい全身運動であり心肺機能を高めるのに適した有酸素運動である。

しかしプール水泳での事故は、命に直結する事故が少なくないことに注意しなければいけない。

 飛び込み事故、溺水事故、排(環)水口における吸い込み事故などである。また、プールサイドでの転倒事故等、プール内での怪我や事故を防止するため、学校は児童生徒にプール水泳のルールをきちんと守ることを徹底させることが必要であるし、事前の健康観察や準備運動、複数教員によるプール監視など安全対策を十分に講じることが求められる。

 

 とくに小中学校のプールは水深が浅く、飛び込み練習をしていない児童生徒がスタート台から飛び込むのには適していない。

 学習指導要領解説に、小学校では「水中からのスタートを指導するものとする」、中学校では「泳法との関連において水中からのスタート及びターンを取り上げること」と説明されているように、水泳授業においてスタート台からの飛び込みは指導事項にはなっていないのである。

 

◆熱中症にも注意が必要

 

 直接プール水泳と関係するものではないが、高温多湿になっていくこの時季から注意が必要なのは、「熱中症」の予防である。

 「熱中症」による重大な事故は、学校では梅雨明けの7月下旬から8月上旬に中学校の運動部活動や小中学校の校内スポーツ行事で発生することが多い。最近は梅雨入りよりも早い時季から真夏日になることもあるので注意したい。

 

 「熱中症」予防にはこまめな水分補給が効果的である。しかし水を飲むだけでは塩分を摂取できないので0.1~0.2%の食塩水かスポーツドリンクを飲むことが大事である。食塩水が飲みにくければ少量の砂糖を加えると飲み易くなる。

 

 学校によってはスポーツドリンクの持参を禁止していることもあるから、学校からの通知や指導に基づいて、水筒に食塩水などを入れて登校させるようにしたい。また同時に戸外では帽子の着用を習慣づけるようにさせることも大事である。

(浩)

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