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学校の四季⑤「運動会の種目を考える」

9月からALT(外国語指導助手)として域内の学校に派遣されてきたスコットランド出身の英国人女性に、月末の日曜日に学校の運動会があるから見学に来ないか、と誘ったことがある。

 

「嬉しいです。ALTのカナダ人の友達と一緒に来てもいいですか」と訊いたので、

「もちろん。昼食は日本のお弁当を用意しておくよ」と言って招待した。

 

 

運動会を見た彼女は、「英国の学校のSport Dayととてもよく似ていて驚いた」と喜んでいた。それはそうだ。もともと運動会は英国の教育制度を日本が採り入れて始まったものなのだから。

けれども運動会の競技種目は、現在まで時代を反映して少しずつ変化してきている。

 

私が学生だった頃には、騎馬戦や棒倒しが定番の種目だった。しかし現在では地域差はあるものの、これらの種目を見ることは少なくなった。その要因としては、競技中に怪我をする児童生徒が増えたことや、この種目の事故で脊髄を損傷し重大な 後遺障害が残った事案が民事裁判になったことなどが背景にある。

 

昨年、大阪府内の中学校で「10段立体ピラミッド」が崩れて生徒が骨折し重傷を負った事故があった。このピラミッドが崩れる様子は、YouTubeに投稿されたことで多くの人々が動画を閲覧して関心が高まり、運動会の競技種目での安全確保について改 めて問題が提起された。

とくに「組体操」でのタワーやピラミッドで重大な事故が起こっていることが問題であると指摘されたのだ。

 

独立行政法人日本スポーツ振興センターによると、平成26年度の組体操による「災害共済給付」(医療費)の支給件数は、小学校で6291件、中学校で1887件にのぼる。

これを学校における運動中の事故の占める割合で示すと、小学校は6.6%、中学校は0.7%となる。小学校では、組体操での事故の医療費の支給件数は、「跳箱運動」「バスケットボール」「サッカー・フットサル」に次いで多い。

 

大阪府での事故を受けて運動会の組体操での事故を防止するために、全国の市町村教育委員会ではさまざまな対応策をとるようになってきた。たとえば千葉県柏市は、今年度から市立小中学校で運動会の組体操を全面禁止することにした。千葉県内で はほかにも6市町が禁止するという。また、東京都立校(都立高校、中高一貫校、特別支援学校)は、今年度は組体操を休止する措置をとっている。

 

組体操は運動会の花形種目ともいえるが、私の勤めた小学校で一番応援が盛り上がった種目は、「地区対抗リレー」だった。子どもたちが住む地域ごとに1年から6年まで各学年の代表選手が出場するリレーである。全校児童だけでなく観客の方々も、 自分の地域に住んでいる子どもの名前を連呼して大きな声援を送っていた。

 

 

運動会の競技種目は、徒競走やリレーなど変わらず残ってきた種目と、時代によって工夫が加えられてきた種目とがある。

後遺障害が残るような重大な事故を防ぐために、運動会の競技種目や安全対策には、主催者は不断の検討を加えていく必要があるだろう。

 

(浩)

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