どうやって学校を選ぶ?
転勤や転居で子どもの学校が変わるとき、何を判断材料にして学校を選べばよいか、と訊かれることがある。それで、私なりに考えてみた。
なお、学習と学力については、保護者は当然調べると思うので除いている。
玄関は整っているか
学校を訪れて最初に目にするのが玄関である。玄関が綺麗に掃除されているか、掲示物は内容も掲示のし方もきちんと整っているか、生け花などが飾られているかを、見てみる。些細なことと思うかもしれないが、それは瑣末なことではない。
来客用スリッパや靴ベラの用意までも含めてお客様を迎えるのに相応しい準備と接遇ができているかどうかは大事である。玄関には、その学校が地域連携とどう取り組んでいるかが表れるし、教職員が教育に取り組む姿勢や品格が表れる。日頃の学 校活動の実態と内実が形となって表れるのが玄関だ。だから、玄関が日常的に整っていない学校はそのレベルの教育しかしていないと考えても間違いではない。
かつて松下幸之助は、会社の受付を見ればその会社がわかると言ったそうだ。またある経営者は、整理整頓もできない職場から高精度の製品や高品質の企画商品が生まれることはありません、とも言った。
会社と同様、学校の玄関を見ればその学校の教育の質もわかると、私は思う。
不登校の状況はどうか
転校先の学校の不登校児童生徒の出現率と人数を事前に調べて選択の基準にすることも大事である。
学校でのいじめ事案や、教育活動とクラスの友達関係に起因する子どもの自死が後を絶たない。加えて不登校を理由として年間30日以上学校を欠席している児童生徒は12万3千人(文科省平成27年度学校基本調査による)いる。
この結果を見れば、どの学校にも不登校児童生徒はいると理解しておくべきなのが現状である。それでも明らかに出現率や人数が多ければ、どこかにその理由や原因があると考えるべきだろう。
またその学校に、スクールカウンセラーが配置されているかも調べておくべきだ。
とくに中学校では、クラスや部活動で精神的に圧迫されている生徒の心理ケアを行ったり、養護教諭や担任などによる生徒の指導を支えたり、スクールカウンセラーがはたす役割は大きいからだ。
防災減災教育への取組みはどうか
3つ目の観点は、防災減災教育がどのように行われているかを調べることである。
将来大地震が想定されている地域に学校がある場合は、とくに念入りに調べることを勧めたい。熊本地震の状況を見てもわかるように、学校は子どもの生命を守るだけでなく、あなたの家族にとっても緊急避難施設として命をつなぎ生活する場所に なるかもしれないからだ。
まずは、校舎や体育館の耐震改修工事が済んでいるかを確認したい。公立小中学校の耐震化率は95.6%(文科省平成27年度公立学校施設の耐震改修状況調査による)である。
しかし、まだ全国の学校には5212棟も耐震性のない校舎などの建物がある。
次に、子どもたちが学校で実際にどのような防災減災教育活動を行っているかを調べたい。
避難訓練は年に何回行っているか。地震対応の子どもの引き渡し訓練は行われているか、またその訓練方法は現実的な内容のものか。防災備品や設備は毎年更新充実されているか。PTAへ災害時の対応について啓発や情報提供は行われているかなど訊いておきたい内容をまとめておくことをお勧めする。
大きく3点述べたが、その地域の特性に応じて[ガッコム]サイト内の情報を活用するなど参考にしていただければと思う。
(浩)