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学校の四季㉑「『読書はなまるデー』顛末記」(中)

 ■ 「読書の日」試行版が始まる

 

 梅雨入りの6月。長雨の続くこの時期、今月の学校生活目標は「廊下はあわてずゆっくり歩こう」だった。雨の日の昼休憩には体育館を開放することにしている。曜日を決めて学年に振り分け、グラウンドでボール遊びができない代わりにしているのだ。教室内での遊びにエネルギーを持て余していた子どもたちは、チャイムが鳴ると我先にと体育館に集まってくる。そんな中、廊下での出会いがしらの衝突事故が多発するのがこの時期なのだ。

 

 6月23日は、いよいよ「読書はなまるデー」の実施日である。「読書の日」試行版を6月に実施することが決まってから、この「読書の日」に学校独自の名称をつけようということになった。公募することも考えたのだが、実施までに時間的余裕がなかったため諦めて、教職員からアイデアを募り「読書はなまるデー」とすることに決まった。考案者は、図書主任だった。

 

 ■ 「読書はなまるデー」の工夫

 

 試行日の前週には、担当者会議を開いて最終の確認をおこなった。実施日が23日になったのには、いくつか理由があった。まず、月初めや月末は、校内で集金があったり月例の諸連絡やプリント類が多く配布されたりして慌ただしいことから、除外された。次に、中間日の15日が候補となったが、商売をしている家庭は「5と10の付く日(ごとび)」が集金や支払日となっていることが多く、避けた。最終的に実施日を23日に決めた。実施後の感想記入用紙を月末までに回収するのに余裕もありちょうど適切な日程だと考えたのである。また、家庭の諸事情を勘案して23日前後の数日を各家庭での実施予備日として無理のない実施ができるように考慮した。

 

 実施上のいちばんの工夫は、取り組みのコース分けだった。読書は、得意な子と苦手な子との差が激しく、どのような選択コースを作るかに教員は知恵を絞った。各学年の実態の差もあるし低学年と高学年との成長の差もある。最終的には以下のように、初級コースから上級コースまで取り組むコースを6種類作り児童各自に選択させることにした。もちろん、保護者と話し合いをして決めることを条件に加えた。

 

1 かめコース

 食事の時だけノーメディア+読書10分以上

2 かにコース

 夜9時までに寝る+読書10分以上

3 たこコース

 メディア1日2時間以内+読書20分以上

4 マンボウコース

 メディア1日1時間以内+読書20分以上

5 イルカコース

 メディア1日1時間以内+読書40分以上

6 くじらコース

 学校から帰ってからノーメディア+読書60分以上

 

 もうひとつ工夫したことがある。PTA文化部に、各コースの生物のイラストを描いてくれる人を探してほしいと依頼したのである。当日の試行版には間に合わなかったので、「イラスト作成中」と記載しておいた。後日、ある保護者が描いたイラストが届いた。子どもが好みそうな可愛らしいイラストで教職員一同大変喜んだ。

 

 6月23日に「読書はなまるデー」を実施したその結果はどうだったのか。各学年から1組の親子の感想を紹介したい。

 

●「前日に図書館に行き、これもこれもと結局9冊も子供は本を借りて帰りました。私も1冊借りて久しぶりに忙しい生活の中2人でゆっくり読書の時間を持つことができてよかったです。チャレンジはマンボウコースでしたが、くじらコースをクリアできていました。1年母」「しらないまに50ぷんもじかんがたっていた。1年男子」

●「すごく楽しそうに学校であった事や友達とあそんだ事、本を読んで楽しくいろいろ話をしていて、うれしそうな顔がとてもよかったです。2年母」「ゲームができなくてちょっとさみしかったけどおかあさんやおねえちゃんといっぱいお話ができてすごくたのしかったよ。2年女子」

●「どのコースをチャレンジできるか自分で考え時間を決めて家ですごすことができ、とても良かったと思います。3年母」「楽しく読書ができました。3年男子」

●「普段あまり読書をしませんが、この日は長い間机に向かって本を読んでいました。夢中になっていたようです。これを機に本にどんどん興味を持ってほしいです。4年母」「読書はあんまりすきじゃないけど集中して読んだらすごくおもしろかった。4年男子」

●「メリハリのつく1日がおくれました。子供も目標達成のためにがんばっていたのがよかったです。計画的にすごせていいと思います。5年母」「またやりたいと思った。5年男子」

●「TVをみられないことを逆に楽しんでいるようでした。『する事ないから』と言って自主勉強をしたり姉妹で仲良くトランプをしたりしていい時間を過ごせたと思いました。6年母」「意外と簡単にできた。読書も時間のたつのがはやいぐらい短く感じた。6年女子」(続く)

(浩)

 

※ 本稿は実際にあった出来事を素材にしたフィクションです。

 

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