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地域ごとに大きな差が?公立小学校の制服導入事情

 

 

 3月に入り、だんだんと暖かくなってきました。3月と言えば進級・進学の準備シーズン。進学先が決まり、制服採寸に行く、という方も多いのではないでしょうか。新しい制服を着ると、自分が少し大人になったような感覚を覚えますよね。

 

 さて、皆さまの小学校時代に制服はありましたか?実は全国の約20%の公立小学校が制服制度を取り入れていることが、ガッコムの調査で分かりました。筆者が通っていた公立小学校には制服制度がなかったので、この結果にとても驚いています。反対に、制服制度のない小学校があるのか、と驚いている方もいらっしゃるかもしれませんね。学生制服に携わる“KANKO(管公学生制服株式会社)”の記事によれば、都道府県ごとに制服の有無は異なり、その差も大きいことが指摘されています。(令和2年10月29日「みんなの地域は何着てる?小学校の制服・通学服」)

 

 そこで今回は学校レポーターの皆さまからガッコムに寄せられた2021年2月時点の情報を元に、制服制度を取り入れている学校の特徴や傾向を分析してみました。

(あくまでガッコムに寄せられた情報に基づいた統計的集計であり、必ずしも正確であることを保証しません。また、ランキングは統計的平均値に基づいて作成してありますが、各順位間に統計的に有意な差があることも保証しません。どうかご留意ください)

 

 

 

 

◆小学校の制服制度は一般的か?

 

 

 全国的に見ると約20%の公立小学校が制服制度を取り入れていることが分かります。公立中学校における導入率は97%以上なので、その差は歴然です。公立小学校の制服制度の導入が、全国的に見て少数派であることが伺えます。

 

 

 

 

◆制服制度を取り入れているのはどの都道府県か

 

 

制服制度導入率ランキング

1位:香川県  98.2%

2位:岡山県  97.1%

3位:山口県  83.5%

4位:鹿児島県 82.8%

5位:石川県  82.5%

 

 上の図は都道府県単位に制服制度導入率を算出し、その値を元に地図を色分けしています。色が濃い都道府県ほど、公立小学校における制服制度導入率が高い事を表しています。

 

 全体を見ると制服の導入は西日本に集中していますが、その中でも県ごとに大きな偏りがあることが分かります。 98%以上の導入率を誇る香川県に対し、高知県には制服制度導入に関する投稿がなく、同じ四国でもその傾向が大きく異なっています。

 

 

 

 

◆学校規模・自治体規模による違いはあるか

 

 続いて、各学校を生徒数ごとに分類し、制服導入率を調べました。どの規模でも導入率は20%前後であり大きな違いはないことが分かります。

 

 また、所属生徒数が少なくなるから制服導入率が上がる、と言う単純な図でもないことが伺えます。

 

 

 全国の小学校を「政令指定都市・23区」「市部」「郡部」に分けて制服導入率を調べても、実施率は20%前後であり、その差は約7.4%程度。都市部と比べると郡部の方が多少導入率は上がりますが、県別ほどの違いはありません。

 

 制服の導入には生徒数などは関係なく、県ごとの地域差が大きく影響すると言えそうです。

 

 

 

 

◆繊維工業との関係

 制服を作るには服を作る材料と技術が不可欠です。そこで1万人あたりの繊維工業の出荷額(経済産業省,令和2年8月7日「2019年工業統計表 産業別統計表」、総務省,令和3年2月19日「統計で見る都道府県のすがた2021」)との関連を調べました。

 

 

 82%以上の公立小学校が制服制度を導入している石川県は、県民1人あたりの繊維工業出荷額が全国5位。さらに岡山県は、全国4位を誇ります。香川県、山口県、鹿児島県は前者ほど繊維工業が盛んではないようですが、香川県は13位、山口県は18位です。繊維工業との関連は、ないとは言い切れないでしょう。

 

 全国の繊維工業出荷額と制服実施率の関係を分析すると、弱い相関があり、繊維工業出荷額が高いほど制服実施率が高い傾向にあることも分かります。

 事実岡山県は全国約8割の制服を生産しています。(毎日新聞,平成28年10月18日「『学生服王国』岡山県 時代の変化に底力発揮」)「トンボ学生服」で知られる株式会社トンボの本社も岡山県にあり、敷地内には「ユニフォームミュージアム」があります。

 

 以上より、公立小学校の制服導入は全国で見ても少数派なこと、県ごとに大きく地域差があることが分かりました。皆さまがお住まいの地域はいかがでしたでしょうか。

 

 このような地域差は、長く同じ土地に住んでいると分からないことも多いです。ガッコムの調査にご協力いただくと、このような地域差も分かるようになります。ぜひ情報提供にご協力ください。

 

※本記事は、ガッコムが保有する学校レポーター情報(学校毎の200項目以上のアンケートに対して、全国の利用者の皆様から善意でいただいた回答)をエリア単位で集計したデータを使用しています。そのため、中には実情とは異なる回答が含まれている場合もございます。予めご了承ください。

 

※学校毎のデータは、ガッコムの各学校ページ上でご確認いただけます。未回答項目の正しい回答をご存知の方、または回答済項目の誤りを見つけた方は、ガッコム上で簡単に投稿・修正が可能ですので、情報提供にご協力いただけますと幸いです。

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