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元・公立学校の養護教諭 妖怪先生のつれづれ話⑨妖怪先生行政に出る 「外から見た教育現場は?」その1

妖怪先生の新しい職場「自然の家」

 

前回、中学校で劇的な不登校生徒との関わりが終了したとお話ししました。その時点で、私の心の中で、一つのピリオドが打たれた感じがしたような気がします。

 

おそらく、常に4~5名の不登校生や反社会的行動をとる生徒との関わりや、休みのない部活動のある中学校生活に、心身共に疲れがたまっていたのでしょう。私は、数年前から、異動を打診されていた「社会教育施設」(現在は生涯学習と言われるようになりましたが)へ行く決心をしました。

 

私の今度の職場は「公立の自然の家」です。

 

みなさんも小学生や中学生のときにお泊りしたことはあるのではないでしょうか?

 

この自然の家は、当然ながら「山の中の山」にありました。

 

片道1時間の通勤時間は、くねくねした山道で、途中で日本鹿や山鳥と遭遇することもしばしばで、当初は「すごいところにきたな……」という不安感が大きかったです。

 

しかし、それでも、自然が大好きな私は、持ち前の好奇心がむくむくと膨らみ、1時間の通勤時間は全く苦には感じませんでした。(心配なことを強いて言うと、途中車が故障したらどうしよう……くらいでしょうか。)

 

自然の家の職員は全員で8名からなる小所帯の職場でした。(ちなみに女性は私1人です)仕事は「宿泊をしながら学習をしたり、研修をする」活動をサポートすることです。大半は小中高生の宿泊学習で使用される施設です。私自身も、小中学校で利用していたので、活動内容や過ごし方は知っていました。

 

男性職員にコバンザメのようについていきながら、一つ一つ覚えていきました。

 

ここでの仕事内容は本当に学校とは真逆でした。

 

施設の職員は、子ども達は「お客様」で、丁重にお迎えして、有意義に過ごしていただくようにお手伝いをするホテルパーソンです。

 

そのため、当初は一日の流れについていくのがやっとの時もあるほど、複数の団体対応が目白押しの時もあり、何が何だかわからなくなるほどの忙しさに振り回されていました。

 

それでも、着任して半年を過ぎると、心にも余裕が生まれるものです。数多くの団体の行動を、客観的に冷静にみられるようになってきました。

 

子どもの自主性を育てる自然の家なのに……ショックな出来事が発生

そんなある日、私にとってショックな出来事が起こったのです。

 

それは、ある小学校の先生が、複数の子ども達を、大きな声で怒っていたのです。先生が怒鳴ることは普通のことです。しかし、今回はちょっと「???」的な内容でした。

 

「○○さん早くしなさい!」「××さん何やってんの!」「あなた何考えているの?」

 

それは、聞いていて、こちらが委縮してしまいそうな声でした。それが、かなり長く続いたのです。

 

 

この様子をよく見ていると、この先生の声(というより言葉)は、子ども達がやろうとしていた事を全否定するような内容だったのです。私達職員は、そろって溜息をついてしまいました。

 

「きちんとさせたい」「失敗させたくない」「安全第一」という考えを、あまりにも先行しすぎて、子ども達の自主性・自発性を育成する目的で、宿泊学習を実施しているにも関わらず、無意識に「行動を縛る」発言に感じられました。

 

男性職員たちも「もっと自由にさせたらいいのに」「もっと考える時間を与えたらいいのに」と口々に言っていましたが、その中で、課長が「学校で行っている私達教員の姿もこの施設では見えるんだよ」とぽつんと言った言葉に、私は「ハッ」としました。

 

その姿は、「昨日の私自身」だったのです。

 

そして、「学校という教育現場は、自主、自立をうたいながらも、意外に時間に追われてなかなかできにくい環境である」ということを知りました。

 

その時、私は、「自然の家」という社会教育施設が、本当の意味での「自主・自立の行動や心」を育む場所となるようにしていかなければならないとの思いを強くしたのです。

(元保健室の妖怪先生)

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