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元・公立学校の養護教諭 妖怪先生のつれづれ話⑩妖怪先生行政に出る その2「レクリエーションとの出会い」

レクリエーションの指導者との出会い

行政(自然の家)に異動して、1年が過ぎたころ、鈍感な私の心にも余裕が出ていました。そのため、1日の流れや職員の動き、年間の動きが見えて来て、学校やその他の団体の支援のお手伝いも身についていき、楽しさを感じるようになりました。

 

そんな折、今後「私の生活の一部となるレクリエーション活動」に大きく影響を与えてくれた、大切な方との出会いがありました。

 

その方とは、レクリエーションコーディネーターのNさんです。彼は、若いながらもレクリエーションの上級指導者で、様々なところで活躍をされており、私の自然の家の「登録指導者」でもありました。そんなことを全く知らなかった私は、指導者としてたびたび訪れていた彼を、遠くから「偉い方なんだ」という、漠然としたイメージで恐る恐るお茶出しをしたものです。

 

Nさんは、特に学校のレクリエーションゲームや、キャンプファイヤーなどの指導を得意とされており、その指導力にはとても定評がありました。当時の私はレクリエーション自体がどのようなものか全く知らなかったため、好奇心もあり彼の実践する指導に興味を持つようになったのです。

 

そこで、Nさん本人と上司にお願いをして、「レクリエーションの実際」を見学させていただくことになりました。

 

見学の対象は1泊2日で宿泊学習に来ていたA小学校4年生で総勢70名の児童たちでした。キャンプファイヤーは、会場設営から迎え火や送り火の儀式、間に実施する参加者へのレクリエーションという3つの場面に分かれます。そのため、Nさんは自分の仕事を早めに切り上げて学校や自然の家の職員としっかりと話し合い、この本番に臨みました。

 

70名もの小学校4年生たちが静かにファイヤー場に集合し、高く積まれた薪をぐるりと囲んで静かに座りました。オープニングの「迎え火の儀式」です。全員が座って話し声が聞こえなくなったころ、突然、Nさんの大きな第一声が響きました。

 

「さあ、みんなで、山の神様をよんでみよう!おーい!」

 

子ども達は一斉―に声をかけます。

 

「おーい!」

 

いよいよキャンプファイヤーの始まりです。

 

奥から神様の衣装を着た校長先生が、火のついたトーチをもって厳かに近づいて来ます。こどもたちはみんな目を輝かせて神様を見ていました。そして、迎え火の儀式が終わると、みんなが待ちに待ったレクリエーションタイムの始まりです。

 

これからの教育には、体験、交流、遊び心が必要であることの気づき

Nさんは今までの厳かな司会から一転して陽気な声になり、次々とゲームや歌に踊りなどを、子どもたちと一緒に楽しみ始めました。

 

その時の子どもたちの楽しそうな顔を私は今でも覚えています。大いに笑い、大いに動き、大いに友達とふれあい、満面の笑みを浮かべていたのです。私は言いようのない感動を覚えながら、終了間際にその場を後にしました。

 

実はNさんの指導は、打ち合わせから始まっていたのです。Nさんは、自身の人柄と、相手が求める思いをキャッチできる感覚が鋭く、A小学校の先生方の心をしっかりつかんでいました。そして、当然のことですが、自然の家は社会教育施設ですので、学校は、宿泊学習に様々な目的を立てて臨みます。Nさんは、その学校の子ども達の特徴を把握し、どのような目的で宿泊学習に臨んでいるかを念頭にいれて、その目的が達せられるようなプログラムを準備していたのです。

 

これは、私にとって「目から鱗」でした。

 

私は、Nさんに、「学校では見失いがちな教育」を見たような気がしました。それは「遊びを通した体験と交流」です。正直、新任で、2校の小中学校で、様々な児童生徒の問題に対峙してきた私は、心がへとへとになっていました。レクリエーションは、私に「これからの教育には、体験、交流、遊び心が必要である」ことを感じました。

 

私はさっそくNさんの教えを請いたいと思い、数日後に弟子入り(?)を志願しました。彼は、笑って「レクリエーションの講習会」を勧めてくれました。

 

彼もその講習会の講師ということもあり、そこから、様々なノウハウを教えてくれました。また、この経験により、学校の中での教員生活では得られない「広い視野」も身につけることができました。とかく、教育現場は四角四面で、視野が狭くなりがちです。私は、そうならないためにも、Nさんとレクリエーションの交流を続けていきました。

 

おかげ様で、「レクリエーションの指導者」「社会教育主事」の資格を取り、NさんとNさんの仲間達とともに、いろいろな場で活動するようになりました。現在では、Nさん達と一緒に作ったレクリエーションクラブの事務局として、子ども達へのレクリエーションの提供をしています。

 

彼と出会って20数年……お互いにおじさん、おばさんになりましたが、大きな感謝の気持ちを添えて、これからもよろしくとお伝えしたいです。

 

(元保健室の妖怪先生)

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